こばとの英語ノート

 言葉の妖精こばとの変てこな日常生活を英語を織り交ぜながら綴っています。こばと英語辞典も製作中。いつかは英語の総合サイトだって威張れるようになりたいな。何はともあれ、『こばとの英語ノート』をよろしくね!

こばとのロックオン!(自動追尾システム/カジュナ・アプサス)

こばとのロックオン!

 午後9時過ぎに、小夜子さんと路子さんが『あとりえこばと』に様子を見に来てくれました。こばとが現在の状況をひと通り説明すると、小夜子さんが悲しそうに溜息をつきます。
「これまで五十木とは色々あったけどさ、やっぱり今回のやり方が一番許せないと思うのよね」
「そうですよねー! ウイルスで身代金ならぬ身代古文書って、本当にやり方が卑怯ですよねー!」
「うん。それもあるんだけどね、一番許せないのは目面上君を利用したってこと。退学まで追い込まれて将来を失った若者のやりきれない感情を利用して自分の復讐を手伝わせて、犯罪にまで手を染めさせた。それだけは絶対に許せない」
 小夜子さんは怒りで声を震わせます。
 路子さんも強く同意して何度も頷きます。
「それを言うなら、彼の進学を妨害した阿縣教授の罪も重いよね」
 路子さんは少し疲れた表情でそう言います。
 路子さんは社会人1年目。昼間の会社勤めでで疲れているのに、こうしてわざわざ足を運んで様子を見に来てくれているのです。本当に申し訳ない気持ちになりました。
「事件の詳細が明らかになれば、彼の評判は地に落ちますよー。ともかくまずは五十木のやつを成敗しましょー。明日こばとがアジトを突き止めてやりますよー」
「ええ!?」
 路子さんと小夜子さんが揃って目を見開きます。

「突き止めるって、いったどうやって?」
 路子さんが尋ねます。
「五十木はおそらく手下を使って、送られた古文書を宅配ボックスから回収し、自分のアジトまで運ばせるつもりですよ。もしかするとその役目は目面上君かもしれませんけどね。だからこばとがこっそり尾行してアジトを見つけてやるのねー♪」
 こばとが軽くステップを踏みながら言います。
「いや、そんなことは向こうも警戒しているだろうし、素人の尾行なんて危ないわよ」
 小夜子さんが反対します。
「こばとはこの通り小っちゃいし飛べるから、向こうからは簡単に発見できないのねー」
「それはそうかもしれないけど」
 路子さんはそれでも反対だという表情をしています。
「それに、こばとの目にはロックオン機能があるのねー♪」
「ロックオン機能!?」
 小夜子さんが訊き返します。
「ロックオンした相手は一定以上距離が離れない限り、その位置情報が常に表示されるのねー。使う機能と割り当てられた機能番号を言うだけで相手をロックオンできますよー。試しに路子さんをロックオンしてみましょー ...... 」
「どうしたの?」
 小夜子さんが訝しげな顔で見ます。
「 ...... 単語を忘れた」
「は?」
「当然、機能名はスカヴア語で言わなきゃいけないんだけど、もうだいぶ使ってないから忘れた」
「なにそれ!? 馬鹿じゃないの!? 本当に言葉の妖精なの!?」
「だって仕方ないでしょー! こばと、向こうの世界で生まれたわけじゃないしー! ネイティブじゃないしー! 子供の頃に姉さんに教わっただけだしー! そんなの長年使ってなかったら忘れて当然ねー! 英語にたとえるなら、こばとのスカヴア語なんて中学生レベルねー!」
「なに、逆ギレしてんのよ」
「とにかく、姉さんに電話して訊きましょー。ぴぴっとな。あー、姉さん、今忙しいですかねー? え? すごく忙しい? でも急用なのねー。あのねー、目でロックオンするとき、スカヴア語でなんていうんだっけ? え? いえまあ、ちょっと色々ありましてね。とにかく教えてくださいなー。あー、はいはい、そうねー、そうでしたねー。こんな遅い時間にごめんねー。そんじゃまたー」
「 ...... なんなの、この間抜けな会話」
 小夜子さんが頭を振ります。
「よーし。これで準備万端ねー。アジュナ・カプサス! これで路子さんをロックオンしましたよー。ちょっと家の中で好きな所に隠れてみてくださいなー」
「 ...... まさか、この年でかくれんぼすることになるとは思わなかったよ」
 路子さんはオフィスのほうに歩いていきました。
「1分数えたら探しに行きましょー」

 1分後、こばとはすぐに仮眠室のクローゼットに隠れている路子さんの所に行って、
「みっちゃん、みーつけた!」
と言いました。
「たいしたもんだね」
 路子さんは感心してそう言いました。
「これで明日が楽しみねー! 今度こそ五十木に引導渡してやりましょー!」
 こばとは軽くダンスして士気を高めましたよ。
「そんなに上手く行くかしらね」
 小夜子さんが疑わしそうな口調でそう言いました。
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 [ 2017/06/27 23:55 ]  未分類 | TB(-) | コメント(0)
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