こばとの英語ノート

 言葉の妖精こばとの変てこな日常生活を英語を織り交ぜながら綴っています。こばと英語辞典も製作中。いつかは英語の総合サイトだって威張れるようになりたいな。何はともあれ、『こばとの英語ノート』をよろしくね!

計画には資金が必要です

≪ 後日談①「大学を去ります」

後日談②「計画には資金が必要です」

「ねえねえ、沙希ちゃん」
 こばとはデータを入力中の沙希ちゃんに声をかけます。
「なに?」
「沙希ちゃん、好きな人いたりするー?」
「 ...... 今仕事中なんだけど? 女子会してるわけじゃないんだけど?」
 沙希ちゃんはかなりイライラっときた様子で答えます。
「自分が好きになった人がさあ、法に触れるようなことをしてでも政治的な目的を達成しようと考える人だったら、どうしますー?」
「あ、そういう人、全然タイプじゃないから」
 沙希ちゃんは、あっさりそう答えました。
「いや、だからねー、万が一にも付き合った人がそういう人だったらどうするのーて話ねー!」
「別れる」
 沙希ちゃんは、またあっさり答えました。
「そんなに簡単に別れられないでしょー! 恋愛って、もっとこう割り切れない絡み合った感情てものがあるでしょー!」
「私は割り切る」
「 ...... そうね。沙希ちゃんはそうかもしれませんね。きっぱりした性格だもんね。沙希ちゃんに訊いたのが間違いでしたよ」
「何度も言うようだけど、私、仕事中なんだよね」
 沙希ちゃんは手でしっしっとこばとを追い払いましたよ。

 こばとは頭を振って、千明さんからのメールの続きを読むことにしました。赤桶さんの台詞が続いています。

「数馬は大学をやめてから自分の住んでいたマンションを引き払い、私の部屋で暮らすようになりました。そして彼は自分には計画があるから、誰にも居場所を知られたくない、ここに住んでいることは誰にも話さないでほしいと頼んだのです。私は訝しく思いましたが、言われる通りにしました。友達を泊めることもできなくなったし、外出できない数馬の食事の世話などがあるので温泉サークルの旅行に行くこともできなくなって寂しい思いもしたけど、数馬のためだと思えば我慢できました」

「その頃にも数馬は自分で開発した一般向けのソフトを自分のサイトで販売したり、フリーエンジニアとしてプログラミングの仕事を請け負ったりして、かなりの収入があったので、家賃は全て彼が払ってくれるようになりました。正直、それはかなり助かったのです。時間があれば私の研究も見てくれたので、私は色々な面でいつのまにか彼に依存するようになっていたのかもしれません。でも数馬はやがて『こんなことをしていると、自分の研究も計画も進まない』と考え込むようになりました」

「私が修士課程に進んでしばらくすると、五十木という人が数馬にメールを送ってきたのです。メアドは阿縣研の院生の1人から手に入れたようでした。そこにはこんなことが書かれていました。『君の噂は聞いたよ。K 大学に恨みがあるだろう? 私と手を組んで仕返しをしないかね?』。実のところ、数馬はさほど大学を恨んでいたわけではないし、仕返しをしようとも思ってもいませんでした。彼の計画はそのような怨恨にもとづくものではありません。あくまでこの国の防衛技術開発のありようについて警告することを目的としていたのです。しかし五十木は技術的な協力の見返りとして 150 万の金額を提供すると言ってきました。五十木が得ようとしているものに比べると提示金額があまりに少なすぎると思いましたが、数馬は古文書を手に入れてから交渉すれば良いと考えたようです。そして当面の生活費を得た数馬は自分の研究に没頭できるようになり、計画を着々と進めていきました」

「なるほどねー。なるほどですねー。こんなことがあったんですねー」
 気づかぬうちに心の声が口から洩れていました。
「何が『なるほど』なんです?」
 いきなり声をかけられて、こばとは驚いて「ひゃああ!」と叫んでしまいましたよ。横を見ると涼音さんが怖い顔して立っていました。
「な、なんですか、涼音さん、そんなとこに黙って立っていないでくださいなー。あー、びっくりした」
「私用メールは仕事が終わってからゆっくり読んでください」
「わかりましたよー。ちょっと息抜きしていただけなのねー」
 というわけで、続きは仕事が終わってからねー。

 ≫ 最終話「人生の選択」
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 [ 2017/07/05 18:12 ]  こばとの大作戦! | TB(-) | コメント(0)
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