こばとの英語ノート

 言葉の妖精こばとの変てこな日常生活を英語を織り交ぜながら綴っています。こばと英語辞典も製作中。いつかは英語の総合サイトだって威張れるようになりたいな。何はともあれ、『こばとの英語ノート』をよろしくね!

阿縣研究室

≪ 第14話「予想外の展開」

第15話「阿縣研究室」

 An extraditonary situation arose at Agata laboratory.
 阿縣研究室で何やら異常事態が発生しているようですよ。


「阿縣研の様子がどうもおかしいぞ」
 日が暮れた頃になって、塩郷(しおさと)という院生が研究室に入って来てそう告げました。
「どうしたの?」
 優美香さんが尋ねます。
「部外者立入禁止みたいになってんだ。他の研究室の学生はもとより、教授陣でさえ邪険に追い払われているらしいぞ。人の出入りもほとんどないし、たまに外に出てきた院生に何か話しかけても、『忙しいんだ』とか言って足早に去ってしまうらしい。まるで独裁国家の戒厳令みたいだ。どう考えても異常事態だよ」
「こばとが見てきてあげましょー。千明さん、そこの窓を開けてくださいなー」
「はいはい。でも行っても追い払われるだけだよ、きっと」
 千明さんがそう言いながら窓を開けてくれました。

 別棟の工学部情報科学科の研究室が入る建物まで野次馬しに行きましたが、窓にはきっちりカーテンが閉められていて中の様子はわかりませんでした。
「なるほど。妖精対策にも抜かりがありませんねー。でも視覚を遮ってもダメねー。妖精さんには鋭い聴覚があるのねー」
 こばとは窓の傍に寄って耳を澄ませましたよ。人間の話声以外の雑音はカットできたりするので、とってもクリアーに聞こえますねー。
「本当に誰も怪しいメールは開いてないんだな!?」
 阿縣教授の威圧的な怒鳴り声が聞こえます。
「メールを通さず感染させられたとしか思えないんです」
 院生さんの1人がそう答えています。
「史学研究室で暴れたやつとは完全に別種です」
 別の院生さんが付け加えます。
「おのれ。目面上のやつめ。やはり本当の狙いはこちらだったか」
 阿縣教授が舌打ちします。
「12 台のワークステーションが全てやられたら、手の打ちようがないじゃない! うちはもうおしまいよ!」
「落ち着けよ。俺たちはプロ集団だろ。冷静になって対策を考えるんだ」
「これって、もしかすると目面上が開発していた連携型の ...... 」
「史学研究室に入ったのが偵察用、その支援を受けて本隊が侵攻を開始したってことかな。目面上は自分のアイデアを軍隊用語を使って説明していたな。まず橋頭堡を確保してとかなんとか ...... 専門外の慣れない言葉が多くて、どうも意味がよくわからなかったが」
「あいつ、ミリタリーオタクでもあったしな」
「それ以外にも色々な分野で専門家はだしだったぜ」
「目面上は天才だよ、まったく! 偵察部隊さえ追い払えなかった凡人の俺たちに打てる手なんてあるのか!?」
 ...... これは大変なことになっていますねー。さっそく戻って報告しましょー。

「まさか阿縣研のコンピュータが壊滅するとはなあ」
 名鷲さんが疲れたように椅子の背もたれに背中を預けます。
「阿縣研の連中、こういう事態を予測していて、あれほど必死になっていたってわけか。自分たちが狙われる心当たりが大いにあったんだろう」
 別府込助教授がハンカチで首筋を拭きながら応じます。
 ここのエアコンの設定温度はちょっと高すぎるような気がします。
 だから、こばとはこっそりとリモコンで室温を 2 度下げちゃいました。
「んん!? ひゃああ! もう 20 時を回ってますよー! 今日は完全に仕事さぼってしまいましたよー!」
「なにやってんの、こばとちゃん!?」
 千秋さんが呆れたように言いながら、また窓を開けてくれます。
「そろそろ帰りますねー。涼音さんに叱られるー」
 こばとはそう言いながら窓から飛び立ちました。

 ≫ 番外編③「言いつけましたね」
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 [ 2017/06/28 21:21 ]  こばとの大作戦! | TB(-) | コメント(0)
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