こばとの英語ノート

 言葉の妖精こばとの変てこな日常生活を英語を織り交ぜながら綴っています。こばと英語辞典も製作中。いつかは英語の総合サイトだって威張れるようになりたいな。何はともあれ、『こばとの英語ノート』をよろしくね!

綴じ糸が必要です

 ≪ 第8話「見知らぬ人たちが出入りしています」

 えー。こんな時になんですけど、とにかく今回のテーマの英文です。

 We need a binding thread.
 綴じ糸が必要なのです。


 え? 何のことかって? お話を読んでもらえればわかりますよ。

 午後になると薩田千明(さった ちあき)さんから、メールで調査報告が届きました。
「お忙しいでしょうから結論だけ報告します。目面上(めもがみ)君は、よその大学院への進学を希望していましたけど、阿縣(あがた)教授に執拗に妨害されていたようです。やはり今回の事件の背景には阿縣教授への怨恨があったと推測されます。詳細はまた後日」
 ...... 本当に簡潔な報告ですね。しかし思っていたとおり、あの阿縣教授は「悪いもん」でしたねー。時代劇の「悪代官」みたいな顔してましたからねー。すぐに問い詰めて真相を吐かせましょー。そして最後には姉さんも呼んで(忙しいから来ないかもしれないけど)「ええい、控えおろう! この紋所が目に入らぬかー」みたいに決着つけましょー。楽しみねー。
「ねえねえ、涼音さん、今日ちょっと急用があるから早退していいかな?」
と尋ねてみると、
「馬鹿なことを言わないでください」
とあっさり拒否されましたよ。これじゃあ身動きがとれませんよ。とりあえず
「原稿書くための資料を探しに書庫へ行ってこようっと」
とさも仕事するかのように言いながら、地下へ降りて行きました。

「茶之原君、まだ居たんですか!?」
 こばとは驚き呆れましたよ。
「なんかここ、落ち着くんだよな。これから博士論文もここで書くことにしようかな。大学より質の良い資料が山ほどあるようだし」
「勝手なこと言わないでくださいなー!」
 こばとは拳をぶんぶん振ります。
「これなんて、著者は名も知られてないけど、日本中世家屋の建築資料としては一級品だよな。これを参考にすればすごい論文書けそうだ」
「勝手に読まないでくださいなー!」
「いいじゃん、べつに。おっと」
「ぎゃああああ!」
 茶之原の肘が飲みかけのコーヒーの入ったカップに当たって「かちゃん」と倒れたのです! 幸いなことに、書物の反対側に倒れたので事無きを得ましたけど、心臓が止まりそうになりましたよ!
「あーあ。こぼしちまった」
「書庫では飲食禁止ねー! それだけは守ってくださいなー!」
「いちいち大げさなんだよな」
 こいつとは千年たっても分かり合えない、こばとはそう確信しましたよ。

「 ...... あの」
 一連の騒ぎが収まるのを待っていたかのように、武庫優美香さんが口を開きます。
「どうしました?」
「書き上げたあとは、こちらの古文書と同じように四つ目綴じにしなきゃいけないと思うんですけど」
「それはそうねー」
「綴じ糸はどうします?」
「糸? あそこにあるでしょ」
 こばとは作業室の奥にある棚を指差しますが、
「え? だって、現代の糸なんて使ったら ...... 」
 そこまで言われてようやく気づきましたよ。
「うっかりしてましたよー!」
「相変わらず、抜けてんな」
 茶之原がまたいらんこと言うので、
「茶之原は黙ってろ、ですよー!」
と言い返しました。
「保管庫に綴じ糸なんてありましたかねー」
 困り果てながら保管庫へ向かおうとすると、
「いや、だからさ、江戸時代の綴じ本は何冊もあるんだろ?」
「そりゃ、ありますけど」
「そこから糸を抜いてレプリカに使って、そっちは新しい糸でまた綴じておけばいいじゃないか」
「あー、なるほどねー。言われてみれば、そうねー」
「ちょっとは頭使えよな」
 きききい! 茶之原に指摘されると頭にきますねー!

 ≫ 第10話「書道家の息子さんです」
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 [ 2017/06/26 14:45 ]  こばとの大作戦! | TB(-) | コメント(0)
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