こばとの英語ノート

 言葉の妖精こばとの変てこな日常生活を英語を織り交ぜながら綴っています。こばと英語辞典も製作中。いつかは英語の総合サイトだって威張れるようになりたいな。何はともあれ、『こばとの英語ノート』をよろしくね!

あとりえこばとに勢ぞろい!

 ≪ 第6話「古文書を渡しましょう!」

 All the scholars assembled on the Atlier Kobato!
 学者さんたちが『あとりえこばと』に勢ぞろいしましたよ!


 古垣内教授には大学に残ってもらって、別府込(べっぷこみ)さん、名鷲(なわし)さん、武庫(むこ)さん、そして小夜子さんと路子さんが『あとりえこばと』にやって来ました。
 こばとが先導して皆さんを地下書庫まで案内します。
「おお! これは見事な蔵書だな!」
 別府込さんと名鷲さんが目を輝かせて書庫を巡りながら、興味のある本を手に取って読みふけろうとしますが、
「今そんなことしてる時間はないのねー! 作業室はこっちねー!」
 こばとは何とか彼らを追い立てるようにして作業室に向かわせます。書庫の奥には作業室へ通じる扉と並んで、例の『保管室』の重い扉が備えられているのですが ......
「おお! これが噂の『保管室』か!」
 名鷲さんが何の躊躇いもなく、扉に手をかけて開けようとしましたが、ぴくりとも動きません。そこに入るには特別なカードキーと暗証番号が必要なのです。
「なに勝手に開けようとしてるんですかー!」
 あまりのことに、こばとは拳をぶんぶん振って抗議します。
「いや、すまん。つい。これは学者の習性というやつだな」
 名鷲さんが笑いながらそう答えます。
 この人たちはやっぱり危険だと確信しましたよ。
「とにかく、こっちねー!」
 こばとがせっつくと、ようやく作業室に入ってくれました。

 作業室は損傷の激しい本の修復をしたり、コピーを取ったりする場所です。といっても、人手もないので、普段はほとんど使われることもありません。損傷した本は、たいてい損傷したままになっています。
「糊やカッター、綴じ紐といった細かい道具は全部揃ってますよ。裁断機を使う時は注意してくださいね」
「このコピー機、上蓋が薄い箱型になっているのね」
 武庫優美香さんが物珍しそうにコピー機の蓋を開け閉めします。
「それは古い書物なんかを蓋で押さえつけないようにするためです」
「へえ。面白い」
「ともかく、材料となる紙が必要でしょ」
 小夜子さん促します。
「江戸時代の紙は保管庫にあります。それはこばとが取ってきますよー」
 こばとがそう答えると、
「何十枚も必要だろう。こばとさんには重たいんじゃないかね?」
 別府込さんがそう言います。
「何度かに分けて運んでくるから大丈夫ですよ」
「いやいや、それはあまりに重労働だ。人間が運べば一度で済むんだし、効率的に仕事しようじゃないか」
 親切面してますけど、本当は保管庫に入りたいだけなのです。
「わかりました。それでは路子さんに運んでもらうことにします」
「 ......... 」
 別府込さんは黙り込んでしまいました。

 カードキーを使って、路子さんと一緒に保管庫に入ります。部外者を入れると姉が良い顔をしないので、もちろん内緒にしておきます。それに路子さんなら安心です。
「へえ。ここが保管庫かあ。高そうな漆器があるね」
「 ...... それはこばとが食事に使っていた器ですよ。それほど高価なものではありません。思い出として取っておいているだけです」
「 ...... そうなんだ。この小さな甲冑は何?」
「戦国時代の尾張に居た頃に、どうしても欲しかったので作ってもらいました」
「あはは。かわいいね」
「勝家様は『女に甲冑など必要ない!』と言ってましたけどねー。ところで今の口真似、勝家様にそっくりだったでしょ?」
「 ...... ごめん、よくわからない。勝家様に会ったことないし」
「あ、そう」
 路子さんは、それなりに色々と興味を示しますが、ちょっと見たらそのまま通り過ぎるので、今はそういう淡白さは助かります。
「これこれ。この抽斗に和紙が入っています。50 枚ほど持って行ってくださいな」
「わかった」
 それから作業室に戻ると、別府込さんと名鷲さんが渋い顔をしました。
「 ...... やっぱりな」
 名鷲さんが溜息を吐きます。
「な、なんですかー!? 何か文句がありますかー!?」
「ずいぶんと丁寧に保管してきたんだと思うが、それが裏目に出たな。保存状態が良すぎて、この古文書の "ぼろぼろさ" 加減とは似ても似つかない」
 名鷲さんは大学から持ってきた本物の古文書と見比べながらそう言います。
「五十木さんも、ケース越しとはいえ本物を見ているからなあ」
 別府込さんが両手を首の後ろに組んで椅子の背もたれに背中をあずけます。
「だいたい、こばとちゃんの思いつきなんて、ろくなもんじゃないのよね」
 小夜子さんがとっても失礼なことを言いました。
「 ...... やってもみないうちから諦めないでくださいなー! 作ったあとに陽射しや風雨に晒してぼろぼろにすればいいでしょー! とにかく始めますよー!」
 こうして、こばとの大作戦が始まったのです。

≫ 番外編①「英語で握り寿司を食べましょう!」
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 [ 2017/06/25 18:19 ]  こばとの大作戦! | TB(-) | コメント(0)
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