こばとの英語ノート

 言葉の妖精こばとの変てこな日常生活を英語を織り交ぜながら綴っています。こばと英語辞典も製作中。いつかは英語の総合サイトだって威張れるようになりたいな。何はともあれ、『こばとの英語ノート』をよろしくね!

古文書を渡しましょう!

≪ 第5話「めもがみ?」

 目面上君の調査については薩田さんと他の院生さんたちに任せることにして、『日本史学研究室』の指導陣は講義室に集まりました。古垣内教授と別府込(べっぷこみ)助教授、助手の名鷲(なわし)さん、院生の武庫(むこ)さんです(彼女は外部から来た院生さんなのでこちらに参加してもらいました)。そして、こばとはいきなりこんなことを提案して皆を驚かせましたよ。

 "We'll give away him the old docuement!"
 「(五十木に)古文書をくれてやりましょー!」


 予想通り全員が呆気にとられたような表情でこちらを見つめます。その表情には「何でわざわざ英語で言うのか?」という疑問も含まれているようでした。
「お、おい ...... 」
 古垣内教授が何かを言いかけますが、
「といってもねー♪ 偽物渡すのねー♪ レプリカ渡すのねー♪」
と言いながら軽く踊ってみたりします。まだ皆さん釈然としない顔をしているので、こばとは説明を続けます。
「皆で古文書のレプリカを作るのですよー。かなり大変だとは思うけどー、力を合わせて頑張りましょー」
 こばとは「えいえいおー」のポーズをしました。
 だけど、ちっとも盛り上がりませんでした。

「 ...... 何を言い出すかと思えば」
 名鷲さんが呆れたように頭を振り、あとを古垣内教授が継ぎます。
「五十木さんは専門家だよ。人格はともかくとして、一流の目利きであることは確かだ。偽物など渡したところですぐにばれてしまう」
「あなたたちも専門家集団ねー。思いきって勝負してみましょー」
「いや、字体などを精巧に模したところで紙質はどうしようもない。写本が造られた江戸時代の紙が手に入るわけでもないし」
 別府込さんが腕組みをして頭を振ります。
「それがあるのねー! 『あとりえこばと』の地下には、こばとが江戸時代に私塾で使っていた紙を数百枚保管してあるのねー! それで作りましょー♪ レプリカ作りましょー♪」
「いやだめだ。それでも例の古文書と同じ紙とは限らない」
 名鷲さんがそう言いますが、
「古垣内さんは例の蚤の市で五十木と鉢合わせしましたよね?」
「ああ、そうだが」
「その時、五十木は古文書を直接手に取って確認しましたか?」
「いや、それはない。あの時は五十木さんも私もケースに入れられて展示されていたものを見ただけなんだ。手に触れることはできなかった」
「だったら時代さえ合っていれば大丈夫ですよー。それにこれは二段構えの作戦なので、万が一レプリカが見破られても、それなりの成果が上がるように考えています」

「どういうこと?」
 路子さんが困惑したような表情で訊きます。
「詳しい事はまたあとでねー♪ 大学で作業すると人目につくので、これから全員揃って『あとりえこばと』に行きましょー。大仕事に取り掛かりましょー」
 こばとは拳を上げて鼓舞します。
「『あとりえこばと』の地下保管室に入れてもらえるのか」
 名鷲さんが息を呑みます。
「『あとりえこばと』の保管室 ...... 未だ誰の目にも触れることのない未知が眠る場所だ」
 別府込さんも目を輝かせます。
「何か勘違いしておられるみたいですけどー! 皆さんに入っていただくのは『保管室』ではなく『書庫』と『作業室』ですからねー!」
 こばとが興奮を鎮めるように言うと、
「なーんだ」
と心底がっかりした顔になりました。正直言って、この人たちを保管室に近づけるのは危険だと思いましたよ。

 ≫ 第7話「あとりえこばとに勢ぞろい!」
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 [ 2017/06/25 16:15 ]  こばとの大作戦! | TB(-) | コメント(0)
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