こばとの英語ノート

 言葉の妖精こばとの変てこな日常生活を英語を織り交ぜながら綴っています。こばと英語辞典も製作中。いつかは英語の総合サイトだって威張れるようになりたいな。何はともあれ、『こばとの英語ノート』をよろしくね!

怖い顔で睨まれましたよ

≪ 第1話「コンピューターウイルスに感染しましたよー!」

「あれほど忠告したのに ...... 」
 K 大学に着いて、こばとの PC がランサムウェアに感染した経緯を話すと、さすがの古垣内教授も呆れかえっていました。
「そんな見えすいた手に引っかかるかよ、普通?」
 院生さんの1人が馬鹿にしたように言いますが、
「 ...... 茶之原君は人のこと言えないだろう」
 古垣内教授が窘めます。
「なにい!? 茶之原ですとー!? 『 3 日で書き上がる最速論文執筆法』などという、くだらないメールに騙された院生さんですねー!? そんなやつに、こばとの失敗をとやかく言われたくありませんよー!」
「それとこれとは全然ちがうよ」
 茶之原君はぬけぬけとそんなことを言いました。
「きききい! 何がどう違うんですかー!?」
「今はくだらない喧嘩なんてしている場合じゃないでしょ!」
 小夜子さんがまたこばとの襟首を指先でつまんで
「データ復旧の見通しは立たないのですか?」
と訊きます。
「うちの大学の情報科学科の院生たちに来てもらっているんだが、ほとんど見込みはないらしい」
 古垣内教授は途方に暮れた表情で首を振ります。

「明らかな強迫だし、犯人もわかっているんだから、警察に相談すればすぐに捕まりそうな気もするけど」
 路子さんがそう提案します。
「大学側が表沙汰になるのを嫌って被害届を出すのをひどくいやがっているんだ。それにそもそも五十木教授の居場所が掴めないんだ」
「え? 自宅にいないということですか?」
 小夜子さんが尋ねます。
「ああ。五十木夫人によると、もう半年も自宅に戻っていないらしい。ほとんど失踪状態なんだ。五十木夫人はとても人柄の良い人だから、そのやつれた姿は見ていられないほどだったよ。2人の娘さんもいるというのに、いったい五十木君は何を考えているんだか」
 古垣内教授は大きな溜息を吐きました。
「でも確かに、こんな事するなら拠点を知られるわけにはいかないしね」
 小夜子さんが腕を組んで考え込みます。
「例の古文書ひったくり事件のときには、すでに失踪していたわけか」
 路子さんが言葉を継ぎます。
「こんな攻撃は単独では実行できませんよね。五十木が情報技術に詳しいとは思えないしねー」
 こばとがそう言うと、
「そうよね。誰か他に高度な技術をもつ仲間がいるはずよ」
 院生の薩田千明(さった ちあき)という女性が答えます。
「古文書の送り先に指定した『西池袋〇×丁目』がアジトってことは、さすがにありえないのかな?」
 路子さんが自信なさそうに訊きました。
「さっき、別府込(べっぷこみ)助教授が急いでそこへ行ってみたんだが、人が住んでいるような気配はなかったらしい。宅配ボックスが置いてあったから、古文書が送られたら、そこからすばやく回収してどこかに持ち去るつもりなんだろう」
 古垣内教授が少し疲れたような口調で答えました。

「それにしても学部が違うのに皆さんとても熱心ねー。偉い子たちねー」
 土曜日にも関わらず、総出で対策に当たってくれている情報科学科の助手や院生さんたちの作業する姿を眺めながらそう言うと、
「こちらとしては1人か2人の手を借りたいと申し出ただけなんだが、情報科学研究科は院生たちを総動員してくれているんだ。もちろん有り難いのだが、どうにもおかしな雰囲気で ...... 」
 古垣内教授は腑に落ちないといった様子で囁きます。
「んん? そう言われてみると、確かに熱心過ぎるような ...... 」
 そんなことを呟きながら、猛スピードでキーボードを叩き続ける院生さんたちを眺めていると、そのうちの1人がこちらを振り向いたので、なんとなく目が合ってしましました。

 He fixed me with an angry stare.
 怖い顔で睨まれてしまいましたよ。


「な、なんか睨まれましたよ? 『おいこら。なに見てんだよ』みたいな怖い雰囲気でしたよ?」
 小夜子さんの肩に座って首筋につかまります。
「忙しいから邪魔するなってことでしょ。そんなことより、これからどうするか考えないとね。このまま、こばとちゃんの PC のデータが復旧しないと困るでしょ?」
「ちょー困りますよー!」
「でも幸いなことに、こばとちゃんのほうは私用 PC のみの感染で済んだんでしょ。仕事用のほうに被害が出なくてよかったね」
 路子さんはそんなことを言います。
「ちっとも幸いじゃありませんよー! 私用 PC にだって、個人宛てのメールとか、ネットで集めた美味しいレストランベスト 1000 とか、こばとちゃん名言集とか、大事なものがたくさん入っているのねー!」
 こばとは拳をぶんぶん振って抗議しました。

 ≫ 第3話「常にバックアップを取っておきましょう」
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 [ 2017/06/24 16:05 ]  こばとの大作戦! | TB(-) | コメント(0)
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