こばとの英語ノート

 言葉の妖精こばとの変てこな日常生活を英語を織り交ぜながら綴っています。こばと英語辞典も製作中。いつかは英語の総合サイトだって威張れるようになりたいな。何はともあれ、『こばとの英語ノート』をよろしくね!

私たちの種族(リムシーペル)は九姉妹です

 このお話は 2015 年に姉が東京に滞在中、眠りにつく前に交わした会話です。実は1度消してしまおうかと思った記事ですけど、やはり大切な記憶ですから、片隅に残しておくことにしました。なので、このページは通常のメニューからは来られないようになっています。

私たちの種族は九姉妹です

こばと
 姉さん、眠る前にどうしても1つだけ訊いておきたいことがあるの。

かばね
 何?

こばと
 亡くなった姉さんたちのこと ......

かばね
 亡くなった?

こばと
 向こうの世界の姉さんたちの話をすると、いつも態度がおかしくなるから、薄々感じていたんだ。今まで怖くて聞けなかったけど、今度会ったときはきちんと聞いておきたいと思ったんだよ。

かばね
 縁起でもないことこと言わないでちょうだい!
 姉さんたちは亡くなってなんていません!
 あなたがおかしなこと言うもんだから、眠気も吹き飛んだわ!

こばと
 え? だって姉さん ...... いつも、え? え? だって ...... どうしよう。
 このまえブログに亡くなったことを仄めかすようなことを書いちゃったような気がする。

かばね
 ちょっと! 姉さんたちのことを軽々しくブログなんかに書いたりしないでちょうだい!

こばと
 だって、姉さんだってすごく紛らわしいこと言うから!
 「あなたの命はあなただけのものじゃない」なんて言われたら、普通は勘違いするよー。

かばね
 ...... 姉さんたちは亡くなってはいないわ。でも囚われの身になったの。

こばと
 囚われ?

かばね
 スカヴアーの大貴族の雇ったハンターたちに捕まったのよ。
 彼らからすると私たちは希少動物のような存在。
 殺されたりはしないけど、自由を奪われるということは尊厳を全て奪われるということと同じよ。どれほど大きなお屋敷であっても、そこは鳥籠と同じ。毎日いい食事を与えられて、何1つ危険もないけれど、そこから羽ばたいていくことは叶わない。
 そういう所で長い年月を過ごさなければならない姉さんたちのことを思うとね、申し訳ない思いでいっぱいになるの。私たちを逃がすために、姉さんたちは代わりに捕まったのよ。

こばと
 知らなかった。姉さんたちはずっと捕まったままなの?

かばね
 そうは思いたくはないわ。向こうだって長い年月が過ぎているし、大貴族であっても人間は寿命の宿命から逃れられない。代替わりしていく中で、妖精たちを外に逃がしてあげようと考える子孫がいたと信じたいわ。
 それに貴族同士の抗争の激しい国でもあったから、同じ家系が数百年も存続するとも考えられないし ...... とにかく、本当に何もわからないとしか言いようがないのよ ...... 確かめる手段なんてあるはずもないんだから。

こばと
 じゃあ、今は姉さんたちも自由に飛び回っているかもしれないね?

かばね
 そうね。そう信じたいわ ...... そう信じましょう。こばとには昔まだ私の指輪が機能していたとき、何度も姉さんたちの映像を見せてあげたよね。覚えてる?

こばと
 忘れるはずないよ。

かばね
 名前もちゃんと言える?

こばと
 当たり前だよ。一番年上でしっかり者のアジュアカータ姉さん、編み物が得意なメータエット姉さん、生まれた子に飛び方を教えてくれるマナ・ハマット姉さん、医師のエリドゥアラ姉さん、おてんばなレイティアヤ姉さん、ちょっと内気なアンフィアマ姉さん。いつも思い返すようにしているよ。一度も会ったことはないけれど、こばとの大切な姉さんたちだもの。

かばね
 そうよ。姉さんたちは今もこばとの幸せを願ってくれているわ。

こばと
 うん。ぐす。良かった。やっぱり訊いてよかった。生きててほしいもん。囚われて悲しい思いをしたかもしれないけど、やっぱり生きていてほしいから。

かばね
 そうよね。私たちにはとても長い寿命が与えられているから、その命を有難く思わないといけないわ。でも不思議ね。あれから千年もの時が過ぎたのよ。それほど永い時が過ぎているのに、なぜか姉さんたちのことを考えると、昨日のことのように鮮明に思い出せるの。

こばと
 こばともね、千年も昔のことを夢で見たりするよ。このまえはね、私たちをお世話してくれた清少納言様が私に名前を授けてくれたときの夢を見たの。

かばね
「こまやかなるものが言の葉といたるはいとうつくし(小さな生き物が言葉の意味を尋ねるのはとても可愛らしいわ)」と微笑みながら、言葉をもじって「こばと」と名づけてくれたのよね。私もあのときのこと覚えてるわ。こばとは、名前をもらったのが本当に嬉しくて、少納言様の首筋に抱きついてたわね。

こばと
 うん。だから私はこの名前をすごく大切にしているんだ。もちろん故郷の姉さんたちがつけてくれた名前も大切に心にしまってあるよ。

かばね
 2つも良い名前をもらってこばとは幸せね。
 話は尽きないけれど、そろそろ眠りましょう。

こばと
 うん。おやすみ、姉さん。

かばね
 おやすみ、こばと ...... おやすみ、ネイネイス。

<おやすみなさい>
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 [ 2015/03/02 03:36 ]  こばとの思い出 | TB(-) | コメント(0)

The Okehazama 桶狭間

【番外編】 The Okehazama(桶狭間)

 永禄3年(1560年)5月12日のことです。駿河・遠江の守護、今川義元は大軍を率いて駿府を立ち、尾張へ向けて東海道を西進するという報が清州へ届きました。

柴田勝家
 義元が動いたようです。総兵力はおよそ1万。

織田信長
 ...... 1万か。

こばと
 最悪ですよー!
 後詰を除いて1万てことですよね?
 こっちは総動員しても5千がいいとこでしょ! もう滅びてしまいますよー!

勝家
 たわけ! 織田家が滅ぶなどと軽々しく口にするな!

丹羽長秀
 こばと、少し黙っておれ。お前が口を開くとたいていややこしくなるのだ。

信長
 よい。こばと、織田は滅ぶか?

こばと
 絶対に! 壇ノ浦から応仁の乱まで、数々の戦を見て来た私が言うんだから間違いありませんよー。

信長
 ははは。面白い物の怪だ。我らが書でしか知らぬ遠い昔の戦をその目で見たと申すか。

こばと
 見ましたよー。私の長年の経験を信じたほうがいいですよー。

信長
 戦は漫然と眺めているだけではわからぬ。戦は心理だ。敵方の心と我が方の心、そこに地の利と少しの運が絡まって勝敗が決する。此度の戦でとくと学んでみよ。

こばと
 そうですかねー。戦は数だと思いますけどねー。

勝家
 もうよい、こばと。奥に引っ込んでお市様と遊んでおれ。
 ここは物の怪のいる場ではない。

こばと
 お市様がお可哀想です!
 せめて今のうちに女子供だけでも城から逃がしてあげましょうよ。
 私、近江につてがありますから、屋敷の手配ぐらいはできますよ。

信長
 市は武家の女。このぐらいで動じることはない。

こばと
 かもしれませんけど。

勝家
 お主、自分が逃げたいだけではないのか?

こばと
 ・・・・・・

長秀
 こやつは、そういうやつなのです。
 自分一人で逃げるのが格好悪いものだから ......

こばと
 ・・・・・・

勝家
 図星か。

信長
 よい。物の怪に我らと運命を共にする義理はない。
 こばと、京へ戻れ。

 こばとはお市様の部屋へ引っ込みました。

こばと
 はあ。そう言われましてもねー。
 さすがにねー。おいそれとはねー。

お市
 こばと、私たちのことは構いませぬ。京へお戻りなさい。

こばと
 お市様は?

お市
 私は織田の女。我が命は織田と共にありますゆえ。

こばと
 ご立派です。

お市
 それに兄上は負けませぬ。

こばと
 え? だって向こうは1万ですよ。無理ですよー。

お市
 負けませぬ。私には何となくわかります。
 こばとは色々なことを知っておりますが、戦の勘だけはないようですね。

こばと
 そうですかねー。

お市
 兄君は怖いお方ですが、それだけに人並み外れた戦の嗅覚をもっています。

こばと
 怖い?

お市
 正直、私には義元などよりも兄君のほうが怖ろしく思えてならぬのです。いずれにしても戦の世に生まれた以上、我が身の上は川面にたゆたう(揺れ動く)木の葉のようなもの。

こばと
 ・・・・・・

お市
 さあ、こばと、いつものように何か珍しいお話を聞かせてください。京の雅な遊び、平家が権勢をふるっていた遠い昔のお話、近頃港に出入りしているという南蛮の者たちの様子 ...... 何か話してください。

こばと
 ...... はい。私は時折南蛮の者たちと会って少しずつ言葉を覚えているのです。彼らの故郷はポルトガルといって、それはもう驚くことばかり ......

 丑三時(午前2時頃)、城内の慌ただしい足音にお市様とこばとは目を覚ましました。

こばと
 信長様は出陣されるのでしょうか?

お市
 討って出るのでしょう。清州に籠城しても先はありますまい。

池田 恒興の声
 松平元康が丸根砦を攻めておるらしい!

河尻秀隆の声
 丸根を守る佐久間(重盛)殿は百戦錬磨の将。
 そうやすやすと落ちることはない。我らが行くまで持ち堪えるはずだ!

勝家の声
 急いで身支度しろ! 熱田に向かうぞ!

武者たちの声
 は! 直ちに!

変な声
 勝家様、私も戦に出とうございます!
 お伴させてください! おねぎゃあしますよ、勝家様。

勝家
 藤吉郎! おまえは台所奉行だろうが! 自分の仕事をしておれ!

木下藤吉郎(後の羽柴秀吉)
 そぎゃあこと言わんと、お願いだぎゃ。手柄立ててえがや。

勝家
 ええい、足にしがみつくな、鬱陶しい!

 信長様は熱田神社にて軍勢を集めて戦勝祈願を行うと、善照寺砦に入りました。しかしその頃、丸根砦を討って出た佐久間重盛は松平元康の猛攻を受けて敗死するという知らせが届きました。鷲津砦も飯尾定宗、織田秀敏らが討死して陥落したようです。勝利を確信した義元は自ら本体を率いて沓掛城を出立しました。

勝家
 義元が出たようです! 現在、敵の本隊は桶狭間あたりかと! その数はおよそ5千! 

信長
 ...... 桶狭間、5千か ...... こちらは2千だが精鋭揃い ...... この程度の数の差なら勝機は見いだせる ...... よし、我らも出るぞ! 向かうは桶狭間だ!

 桶狭間に向けて進軍中、視界を妨げるほどの豪雨が降り注ぎます。

金森長近
 ひどい雨だ! 馬を進められん!

森可成
 このままでは方角を見失いそうだ。

信長
 そのまま進め! 歩みを止めるな!
 この雨が我らを敵の目から隠してくれる!

 そして雨が上がりました。

可成
 見えたぞ! 義元の本隊だ!

信長
 突き進め! 敵は散会して布陣しておる!
 雑兵には目をくれるな! 目指すは総大将、今川義元だ!

清州城

こばと
 勝っちゃいましたねー。義元のやつを討ち取っちゃいましたねー。
 さすが信長様ですねー。信長様を信じてお城に残っててよかった!

勝家
 調子のいいやつめ! お主は織田が滅びると言ったではないか!

こばと
 そうでしたっけ?

長秀
 こういうやつなのだ。物の怪の言葉に耳を貸しているとろくなことがない。

こばと
 あ、ちなみに「耳を貸す」というのはポルトガル語で ......

勝家
 少しは黙っとれ!

 今回は番外編。こばとの思い出話でした!
 いずれ機会があればまた続きをお話しますね。
 もちろん今回も英単語の勉強はあります!
 戦国英単語ですよー! 見ておいてくださいなー。

戦国の英単語

 the Warring States period 戦国時代
 daymyo 大名
 Kiyosu castle 清州城
 Wasizu fort 鷲津砦
 war 戦
 samurai 侍
 a common foot soldier 足軽
 main force 本隊
 march 進軍
 go to the front 出陣する
 triumph/victory 勝利
 defeat 敗北
 fall 滅ぶ
 occupy an advantageous position 地の利を得る
 heavy rain 豪雨
 It stopped raining. 雨が上がる。
 [ 2015/05/23 01:38 ]  こばとの思い出 | TB(0) | コメント(0)

こばとの出生の秘密を少しだけ話します

言葉の妖精こばとの英語表現

 「秘密だよ、内緒だよ」の英語表現集ですよ!
 最後に「こばとの出生の秘密」を少しだけのせてあります!

 secret talk
 confidential talk
 内緒話

 Between you and me, ・・・・・・
 This is a secret, ・・・・・・
 これは内緒の話なんだけど・・・・・・
 
 こう切り出されると、「え、何々?」と興味津々です。

 in secret
 内緒で

 It's a secret.
 これは秘密なの。

 I have a secret.
 私には秘密があるの。

 keep a secret
 秘密を守る

 Let's keep this a secret.
 内緒にしようね。

 Mum's the word.
 内緒にするよ。

 Can you keep this a secret?
 秘密を守れる?

 こう改めて訊かれると自信がないですねー。秘密を知ったら喋りたくなってしまいますねー。

 leak a secret
 reveal a secret
 秘密を洩らす
 
 うーん。やっぱり秘密を漏らしちゃだめですよ。信用を失ってしまいます。

 disclose a secret
 秘密を暴露する

 The secret has leaked out.
 秘密が洩れた。
 
 秘密が洩れてしまったら「ひゃあ!」と慌てますよね。

 Who told our secret?
 誰が秘密を洩らしたんだ?
 
 うーん。誰でしょうね。

 Spill the beans.
 隠さないで言って。
 
 spill はこぼす。直訳すると「豆をこぼす」です。面白い表現ですね。親しい間柄で使える表現です。

 Sayoko confided the secret to Koharu.
 小夜子さんは小春ちゃんに秘密を打ち明けました。
 
 結月さんと小春ちゃん、そして小夜子さんが揃うと「三姉妹のようだった」と披露宴のスピーチで言ってましたね。それを聞いて私も久しぶりに姉に会いたくなりました。

 open secret
 公然の秘密

 secret order
 秘密指令

 industrial secrets
 企業秘密

 confidential documents
 秘密書類

 secret conference
 秘密会議

 secret police
 秘密警察
 
 民主的でない国にはこういう組織があります。ひゃあ、怖いですね!

 undercover agent
 秘密工作員
 
 これは民主的な国にも存在しています。アメリカの CIA とかね。

 secret organization
 秘密結社
 
 『あとりえこばと』で秘密結社ごっこやろうかな。合言葉とか決めてね。 でもマリちゃんは「遊んでないで仕事しろ」て言うだろうなあ・・・・・・。

 secret diplomacy
 秘密外交
 
 現在では(少なくとも表向きは)秘密外交は禁止されています。対義語は「公開外交」。アメリカのW.ウィルソン大統領によって提唱されました。でも国同士の交渉を全て公開するのは無理な話です。その辺の詳しい説明は滝野川小夜子さんにでも訊いてみてくださいね。

 secret treaty
 秘密条約
 
 秘密外交の目的は秘密条約を結ぶことですから、当然これも現在では禁止されています。

 secret information
 秘密情報、機密情報
 
 とっても大事な秘密なので、絶対に漏らしてはいけません。

 the protection of natinal secrecy law
 the law for protection of national security information
 防衛秘密保護法
 
 日米間の協定に伴う法律です。「米国から供与された防衛装備品に関する情報を漏らすと懲役10年以下の禁固ですよ」ということを定めています。

こばとの秘密

 はあはあ。疲れましたね。世の中には秘密に関する言い回しがたくさんありすぎますね。やっぱり秘密なんて持たずに生きていくのが気楽ですよねー。
 というわけで、こばとの秘密も少しだけお話しますね。披露宴で婚礼を祝う「バル・イテスス(イテススに実りあれ)」を歌いましたけど、イテススとは、姉と私の恩人であるイェラ・リペンダさんの故郷です。彼女は悲しい事情があって幼い頃に故郷を失いましたから、よくこの歌を望郷の思いを込めて口ずさんでいたようです。それを姉がよく覚えていて、幼い頃から私にも歌って聞かせてくれました。イェラさんが私たちをこの世界に送り込んでくれたとき、私はまだ「卵」の中でした。ですから、私は向こうの世界のことを姉の話や記録映像を通してしか知ることができませんでした。そして映像を記録した指輪もずいぶん昔に動かなくなってしまいました。
「どれほど優れたテクノロジーも歳月には勝てないわ」
 姉は機能を失った指輪を悲しそうに見つめながら呟きました。
「私たちもね。長寿であっても不死身ではないのよ。それをよく覚えておいて、ネイネイス」
 私はこの台詞をずっと心に留めています。
 姉は大切な話をするときは必ず、「ネイネイス」と私を本当の名前で呼びます。その名前のもつ意味はまた別の機会にお話しますね。

 それでは! See you です!
 次回は secret(秘密)の語源です!

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 [ 2015/07/10 14:39 ]  こばとの思い出 | TB(0) | コメント(0)

善知鳥 博和さん

 久しぶりにマリちゃんのお家に遊びに行きます。新規の読者さんが混乱するといけないので少し補足しておくと、マリちゃん(真理子さん)は仕事場では「刑部」という苗字を名乗っていますが、戸籍上は旦那さんの苗字である「善知鳥(うとう)」となっています。それではお楽しみください。

マリちゃんのお家でお酒を飲みます

こばと
 遊びに来ましたよー♪
 お腹空きましたよー。晩御飯はまだかなー♪

真理子
 着いた早々に食事の催促?
 もっと他に挨拶のしようがあるでしょう?

善知鳥 博和(うとう ひろかず)
 ははは。こばとちゃん、相変わらずの食いしん坊だな。

こばと
 博和さんこそ、また一段と恰幅が良くなりましたねえ。

博和
 はっはっは。貫録がついてきたろ。

真理子
 笑い事じゃないでしょ。このまえの健康診断だって数値悪かったし。
 ちょっとは健康に気を使ってよ。

博和
 はは。また怒られた。

こばと
 こばともよく職場で怒られる。
 マリちゃんも怒ってばかりいると身体に良くないですよ。

真理子
 あなたたちが怒らせているんでしょう!
 ほら、あなた。少しは立って動く。料理をテーブルに運んで。

博和
 はいはい。

 マリちゃんお手製の料理が食卓に並べられていきます。
 こう見えてマリちゃんはなかなかのお料理上手なのです。メニューも載せておきますね。

 ・豚バラのしょうがソース煮
 ・千切りジャガイモのソテー
 ・なすとみょうがの塩もみ
 ・鳥レバーのウスターソース煮
 ・アスパラガスのチーズ焼き

こばと
 ひゃああ! ちょー美味しそうですねー♪

真理子
 どうせたくさん飲むんだろうから、お酒に合いそうなもの作っておいたわ。

博和
 確かに。こりゃあ酒が進みそうだな。

こばと
 いただきます、ですよー♪
 まずはビールを一口。ぐびぐびぐび。

 こばとは大きなグラスの縁から顔を入れて飲むので、口の周りが ......

博和
 ははは。こばとちゃん、口の周りが泡だらけじゃないか。

こばと
 ぷはー、ですよ。最高ですねー。
 どれ、お料理もひとつ。まずは茄子とショウガから。
 ぱくぱく。うーん。こりゃまた、いい味してますねー。

真理子
 ...... おっさんみたいな褒め言葉、どうもありがと。

 私たちは食事をしながらあれこれ世間話をしました。

こばと
 博和さん、たまには外で運動しないといけませんよー。

博和
 ははは。

真理子
 博和、本当に出不精だからね。
 休日も部屋で読書やネットゲームして暮らすし。

博和
 性格だからなあ。簡単には変えられないなあ。

こばと
 マリちゃんも本は好きだから、夫婦で共通の趣味があるのはいいことですよね。

真理子
 まあね。博和も私もジャンルを問わず色々読むから。

博和
 僕が買った本は、たいてい真理子も読むからね。
 でも読んだ端から古書店に売ろうとするんだよな。

真理子
 家が本だらけになっても困るもの。

こばと
 博和さんは本を取っておきたい性分なんですねー。
 やはりお祖父さんの影響ですか?

博和
 かもしれないなあ。祖父ちゃんも本を溜め込んでいたから。溜めるだけで整理整頓はしていなかったけどね。夏に家族揃って田舎に帰ったとき、僕はよく倉に入って面白そうな本を見つけては埃を払って部屋に持ち帰って読んでたな。

こばと
 宗一郎さんは有名な作家さんでしたからねー。
 博和さんは趣味で小説を書いたりしようとは思わなかったんですか?

博和
 ないなあ。僕は読むだけで満足だったな。ははは。
 親父も普通のサラリーマンだったし。別にああいう才能は遺伝するもんじゃないんだろうなあ。

こばと
 姉は宗一郎さんの熱心なファンでした。
 彼の書いた著作は全て読んでいました。

博和
 かばねさんは、ファンというよりは、祖父ちゃんの師というべき存在だよ。祖父ちゃんがまだ子供の頃にその才能に目をつけて文章の添削までしていたぐらいだからね。

真理子
 戦後だっけ? かばねさんが宗一郎さんに会ったの?

博和
 いや。確かまだ戦時中だったと思うよ。
 今生きていたら祖父ちゃんも相当な年だな。
 時勢が時勢だから、休み時間に短編を書いていたところを先生に見つかって「この非常時に小説なぞ書くやつがおるかー! この馬鹿者ー!」と怒鳴られて平手打ちされたって言ってたし。それでもめげずに書き続けたんだから、祖父ちゃんも根性あるよな。

真理子
 かばねさん、知り合いのお子さんの疎開先の相談で群馬に来てたのよね?

博和
 確かそうだった。祖父ちゃんの親父、つまり僕の曾祖父さんと面識があって、知り合いの小さな子供を何人か預かって欲しいって家に来たらしいよ。

こばと
 そうそう。そうだった。こばとも一緒に群馬に行った。
 「宗一郎君、物凄い文才を持っているわ」って姉さんにしては珍しく興奮してたな。それから手紙をやりとりするようになったんだ。姉さんも戦時中は色々なことを抑えつけられていたところもあって、そういう知的活動に飢えていた部分もあったんだと思う。

博和
 千年を生きる妖精が師についたんだ。そりゃ才能も伸びるってもんだよ。
 思い出すなあ。子供の頃のこと。毎年夏にはかばねさんも来ていて、祖父ちゃんの書斎で文学談義を交わしていた。熱心にというよりはゆったりとした時の流れに身を任せるような穏やかな声でね。僕は何となく畏れ多くて縁側の隅からその様子を眺めていたんだけど、かばねさん自身の美しさと、彼女が存在して作り上げる空間のたとえようもない様式美に圧倒されたよ。

こばと
 美化しすぎだと思うけどな。こばとも毎年姉さんと1週間ほど暮らすけど、どこにでもあるような世間話をするか、お説教するかのどちらかだもの。

博和
 ・・・・・・・・・

真理子
 水を差さないで。せっかくの気分が台無しだから。

こばと
 はいはい。

博和
 あるとき、かばねさんは縁側から覗く僕のほうを見て「博和君、こっちへいらっしゃい。お菓子を食べて行きなさい」と言って手招きしたんだ。僕は戸惑いながらも祖父ちゃんの書斎に足を踏み入れて、禁忌だと思っていたその空間に入れてもらった。でも緊張のあまり何を話していたか忘れてしまったなあ。

真理子
 かばねさんに一度訊いてみたら。案外覚えているかもよ。

博和
 いや。やめとくよ。何となくこのままにしておきたいんだ。
 聞くと何か壊れてしまいそうな気もするしな。

真理子
 ふーん。そういうものかしらね。

博和
 実はさ、大人になってからも祖父ちゃんの部屋で2人がすごいことを話しているのを聞いたんだ。それはもちろんはっきり覚えてるよ。

こばと
 何ですかー?

博和
 これは完全に立ち聞きみたいになってしまったんだけどね。夜中にトイレに行こうと書斎の前を通りかかると声が聞こえてきたんだ。その頃はもう祖父ちゃんも床に伏せることが多くなっていて、掠れ声を振り絞るように「博和はどうも大人しくていかんなあ。役所に勤め始めたばかりの頃に恋人と別れたきり付き合っている女がいないらしい」と言うと、かばねさんが「博和君にはマリちゃんがぴったりよ。間違いないわ。一度お見合いさせましょうよ」と言ったんだ。

真理子
 !!!

こばと
 ひゃああ。これは不意打ちですねー。

博和
 今思えば祖父ちゃんも死期を悟っていたのかな。
 その前に孫に嫁を取らせたいと考えていたのかもしれない。

真理子
 かばねさん、私のところに「文豪のお孫さんよ」と言ってお見合い写真を持ってきたわね。さすがに「え? どんな人だろう」と心を動かされたわ。

こばと
 で、実際に会ってみたら?

真理子
 このうえなく平凡な人だと思った。

博和
 ひどいなあ。

真理子
 でもね、私もその頃は実家のほうで色々あったから、その平凡な暖かさと優しさが妙に心を落ち着かせてくれたの。見合い当日に「うん。ありかもね」と思ったのよ。ほとんど心が決まっていたかもしれない。

博和
 ははは。そうだったのか。僕なんか写真を見て「うわ。美人だ! 向こうがいいっていうなら、そりゃ断然オーケー」て感じだったよ。

真理子
 顔で判断したの?

博和
 写真にはちゃんと人柄もにじみ出ているものなんだよ。

真理子
 もう。上手いこと言うわね。

こばと
 ひゃああ。こりゃまたご馳走様ですねー!

真理子
 で、その勤め始めていた頃に付き合っていた女性って誰? 初耳なんだけど。

博和
 え!? そこが気になるのかい? もうずいぶんと昔の話だよ?

真理子
 そりゃ気になるでしょ。で、誰なの?

博和
 君も案外しつこいな。

こばと
 やっぱり、いいお話だけでは終わらなかったですねー。

 善知鳥 宗一郎さんはマリちゃんと博和さんが結婚した翌年に亡くなりました。
 訃報を受けたときの姉の落ち込みようは、声をかけることも躊躇われたほどです。
 時は流れていきますね。こばとが好むと好まざるとに関わらず。
 マリちゃんも博和さんも、やがては思い出の中の人になってしまいます。
 それを考えると胸が締め付けられるような気持ちになりますが、とにかく1日1日を大切に、今この瞬間の記憶をしっかりと心に刻みながら生きていきたいと思います。それではまた次回お会いしましょう。

 ≫ 次回はこばとが「とんでもないもの」を落としてしまうお話です
 [ 2016/04/10 01:08 ]  こばとの思い出 | TB(0) | コメント(0)

英語で「姉は漫画のことで大騒しました」

 こばとは漫画が大好きです!
 戦後に手塚治虫先生の作品が世に現れてから、年代ごとに流行りの漫画はほとんど全部読んできましたよ。手塚先生の「火の鳥」や「鉄腕アトム」、「ジャングル大帝」はもちろん、「あしたのジョー」(ちば てつや)、「ベルサイユのばら」(池田理代子)、「ドラえもん」(藤子不二雄)、「ちびまる子ちゃん」(さくらももこ)、「 20 世紀少年」(浦沢直樹)など、ジャンルを問わずに何でも読んでいましたねー。こばとはこの通り、身体が小さいですから、両手で「よいしょ」とページをめくるたびに、大きなコマがばーんと目の前に現れるわけです。ちょー大迫力なのです。羨ましいでしょ。

英語で「姉は漫画のことで大騒しました」

 でも姉(かばねちゃん)は漫画を全く読みません。漫画を「つまらないもの、くだらないもの」と頭から決めつけていて、こばとが漫画を読むことにも良い顔しませんでしたね。
「漫画ばかり読んでいると、将来えらい妖精になれないわよ」
と言っていました。
「え、偉い妖精? 何それ? ていうかもう、かなり将来(1000 年)にきちゃってるし ...... 」
 こばとがそう反論しても、
「口答えしないの!」
のひと言で終わるのです。いやになっちゃいますね、もう。

 こばとが「あしたのジョー」に感動して「打つべし、打つべし」とボクシングの真似をしていると、
「女の子がそんな真似しないでちょうだい! これだから漫画は!」
と怒るし、何か小言を言われて
「いいじゃん、いいじゃん」
とちびまる子ちゃんのような受け流しかたをすると、
「おかしな言い方しないで! また漫画の悪影響ね」
とやっぱり怒るし、頼みごとをされて、
「了解であります!」
とケロロ軍曹のように敬礼しながら答えると、
「何なの、その変な敬礼!?」
とまたまた怒るのです。

 え? こばとが漫画に影響され過ぎ?
 姉が怒るのも無理ない? そうですかねー?

 で、中でもとんでもない騒動となった思い出がひとつあります。
 まだ 1990 年代のこと。
 その年は仕事が忙しくて、なかなか漫画を読む時間がとれず、お正月に

 「ぼくの地球を守って」(日渡早紀)
  Please Save My Earth

という漫画をまとめ読みしていました。
「また漫画? あなたも飽きないわね」
と呆れたように言いました。
「いいでしょー。正月ぐらい好きにさせてくださいなー。これ、とっても良い作品なんだよ。姉さんもたまには読んでみたらー」
と言ってしまったのです。
「そうなの? ちょっと見せてごらんなさい」
 どういう風の吹き回しか、姉はこばとの横に割り込むようにして読み始めたのです。いやちょっと待って、やっぱりまずいかなー、とこばとは思って、
「そ、そんな途中から読まないで、ちゃんと最初から ...... 」
と慌てて止めようとしたのですが、
「どういうものを読んでるか、ちょっと知りたいだけだから ...... !!!」
 姉の表情が一瞬で変わりました。
 こばとの読んでいる回が、ちょうど「主人公たちの母星が星間戦争でふっとんだ(という知らせが届いた)」場面だったんですよね ......
「こ、こ、こ、こんなくだらないもの、読むんじゃありませーん!」
 姉は今までに発したことのないような金切り声を上げました。

 My sister made a big deal about the Manga.
 姉は漫画のことで大騒ぎしたのです。


「いったい、どこの会社がこんな馬鹿な漫画を出版しているの!? 今から電話で抗議するわ!」
 まだ携帯電話もなかった時代です。
 私たちのような小さな生き物は電話をかけるのもひと苦労という時代でした。
 姉は固定電話の大きな受話器を両手で必死に持ち上げようとしているところを、こばとは後ろから羽交い絞めするような恰好で止めました。
「ね、姉さん、これは漫画の中の話ですからー! 落ち着いてくださいなー!」
 何だか取っ組み合いのような形で押し問答しながら、姉に思いとどまってもらいましたね。

 まあ何はともあれ bad timing(バッドタイミング)とは、まさにこのこと。
 漫画の中の出来事が姉の遠い記憶を呼び覚ましてしまい、大変なことになってしまったわけです。以来、姉の漫画に対する印象がいっそう悪くなってしまったのは言うまでもありません。

 ≫ 次回は「書庫で探し物」ですよ~
 [ 2016/05/23 19:17 ]  こばとの思い出 | TB(-) | コメント(0)
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